「甘え」の構造/土居建郎

April 14, 2004

「甘え」の構造 [新装版]
土居 健郎

発売日 2001/04/18
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イラク邦人人質事件で、日本政府が人質になってしまった方々に対して、どれだけ責任を持って対応するべきか世論が分かれています。人質の方々を救出するために国策を変更し、自衛隊を撤退させるべきか、させないべきか。

僕は今回、この問題を考えるにあたって、日本人が持つ、「自由」という言葉に対する解釈の曖昧さ、そして集団に対する「甘え」という性質がポイントではないかと思い、本棚にしまっておいたこの本を手に取って読んでいます。

著書の土居建郎氏は、西洋の人々が持つ「自由」の概念は、歴史的にみて古代ギリシアの自由人と奴隷の区別に由来していると述べています。

自由とはもともと奴隷のように強制に従わされることがないということを意味するものであって、であればこそ西洋では、自由が人間の権利とか尊厳などの観念と結びつき、よいもの望ましいものとなったのであろう。これと平行して、西洋的自由の概念は、個人の集団に対する優位性の根拠ともなるのであるが、この点も日本的自由の観念とは対照的である。

これに対して、日本人が持っている「自由」という概念は「甘える自由」を意味していると述べています。

集団が個人の思い通りにならないから自由にしたいのであって、その意味で根本的には個人は集団を超越できないでいる。すなわち日本的自由の観念は個人の集団に対する優位性の根拠とはなり得ないのである。このことは日本的自由がもともと甘えに発する事を考えれば、当然のことであろう。なぜなら甘えは他を必要とすることであり、個人をして集団に依存させることはあっても、集団から真の意味で独立させることはあり得ないからである。

僕は、この二つの「集団と個人」についての考え方のギャップが、自衛隊の撤退問題に対する意見の違いを生む要因になっているのではないかと思っています。西洋的な観念と、日本的な観念の間でせめぎ合い、日本という国は今、過渡期にあるのではないでしょうか。

僕個人としては、この事件と自衛隊の撤退問題とは切り離して考えるべきだと思っています。しかしだからといって、「自己責任」という一言で片付けられるほど、日本の社会全体が成熟しているとは思っていません。イラクに行かせた家族だけの問題では決してない気もします。

いずれにしても、今回の人質事件は許されない行為です。引き続き人質の三人の方々が無事に解放され、政府による全力の救助活動が実ることを本当に祈っています。今後、国と個人との責任問題を真剣に議論するためにも、三人の方々には何としてでも無事に日本に戻って来てほしい。そう強く願っています。



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