引っ越しと日本人

Written by : Shinya Suzuki

引っ越しということになじみの薄い日本人と、頻繁に引っ越すアメリカ人の文化の違い、民族性の違いなどについてちょっと僕が思ったこと。

アメリカ人はよく引っ越しをしますよね。世界で一番引っ越しが多い民族とか言われてるし。大学に入学する時、会社に入る時、転職する時、リタイアして老後を暖かいところですごそうときめる時、などなどともかく引っ越しがとても身近だなーって思う。

対照的に日本人にとって引っ越しっていうのは一大事だよね。僕なんかはともかくアメリカに来る前、生まれてからこのかた引っ越しというものを経験したことがなかった。

よっぽど親が転勤がたくさんあるという人や、キャプテン翼の岬君のみたいに、お父さんが画家やってて日本各地をてんてんとしてる、、、、みたいな人以外の日本人にとっては、引っ越しってやっぱりものすごいことだよね。

そもそも、日本で生活していて引っ越しのことを頭に入れて行動するってことなんかほとんどない。

だって日本人の住んでいる家を見ればわかるよね。ただでさえ狭い家に住んでるのに、家の中はモノで溢れてる。どこからもらってきたのか分からないような土産物なんかが、なんの統一感もなく所狭しと飾ってあったり、たいして使わないのに通販とかで買ってしまったものが、「でも捨てるのはもったえない」ってな感じで押し入れの中に入れてあったり。

僕の家の押し入れの中なんてすごいよ。僕が小さな頃に使ってたおもちゃとかまだ置いてあって、それが芸術的にしまわれている。もうパズルのように。ほんとそれをきちんと掃除して片付けるお母さんはすごいなーと思う。ともかく引っ越すかもしれないから、、っていう理由でできるだけものを増やさないようにとかいう感覚はあんまりないよね。

そういう状況を考えても、ともかく日本人にとって引っ越しするなんていうことはものすごく大変なことなんだって思う。

これは昔から定住型の農耕民族だった日本人の性質と絶対関係が深いと思う。ある土地に長く定住して、そして家財をためこんで、しっかりと「その土地に根をおろしていく」という日本人が昔からもつ国民性なんじゃないかな。

日本人の気持ちの中には、この決して動くことのない絶対的な軸(帰ってくる家、安住の場所、落ち着ける故里)がすごく強くある気がする。

よく海外とかではめをはずしてしまう日本人の恥ずかしい話を聞くよね。「旅の恥をかき捨て」なんてよくいう。そういうふうに旅行先で極端にはめをはずしてしまう行動っていうのもこれに関係してるんじゃないかな。

こういう日本人の行動っていうのは、絶対に動かすことのできない軸(家)のことを少しでも忘れたい、離れたいっていう反動からなんじゃないかって思う。いくら自分の家から遠くに離れたとしても、どうせすぐに帰らなきゃいけないんだから、旅先で思いっきりはじけなきゃ損だ!みたいな、、、。絶対家に帰らなきゃいけない、家庭から離れられないってあきらめが入ってる会社員のおじさんが、その反動で飲み屋でベロンベロンになっちゃうのと同じ感じ。

それとは対照的に、アメリカ人は驚いたことにその軸(家)ごと動かしちゃうんだよね。キャンピングカーなんてほんとそう。だってあれは家ごと動いてるってことでしょ。トレーラーハウスなんて家ごと引っ張って移動できちゃう。そんな感覚日本人には考えられないことだけど、アメリカでは珍しいことではない。

そういう極端な話では別にしても、アメリカ人はほんと引っ越し慣れしてるなって思う。U-Hallとかいうとても便利な引っ越し屋さんがあるし、自分の住んでいた土地にあんまり未練なく別の場所へ引っ越していく。半分旅行感覚なんだよね。ただ帰ってくる場所がないっていうだけ。もう、旅行に出たらそのまんまみたいな感じ。だからかな、アメリカ人は旅行先であんまりはしゃがないのは。もうこれが一生で一度っきりの旅行!短期決戦!みたいな感じで写真とか死にもの狂いで撮ってる日本人とは違ってなんかゆったりしてる。

この身軽さ、フレキシビリティーがまあアメリカ人のすごいところでもあるのだとも思う。こう、新しい土地にいってもがんがん対応してやっていく強さみたいなもの。またキャプテン翼の岬君の話になるけどさ、彼の場合はいろんな所に引っ越して、いろんな強い奴、面白い奴と出会ってどんどんサッカーが上手くなっていったわけじゃない。ともかく、新しい土地に行ったら、その都度そこにいる人たちに自分の力を認めさせなければいけないわけだから、自分をアピールできるだけの絶対的な技術と自信が必要になる。そしてそれを通じて、自然と競争の中でやっていくだけのたくましさみたいのが備わっていく。

もちろん、それとは逆に、彼らには帰るための絶対的な場所がないという寂しさみたいのものもある。岬君が持ってる影みたいのはそこなんじゃないかなーなんて思うし。

そんなわけで、アメリカ的も日本的もどちらが良いかというのは一概には言えないところ。文化の違いだからなー、こればっかりは。あ、でも国際社会での競争に勝ち抜いていくという点では、やっぱりアメリカ式が有利ではあると個人的には思ってます。

そんなわけで、今回は引っ越しから見る日本人とアメリカ人の国民性の違いのようなものを考えてみました。長かった、、、。

そいでもって、僕は引っ越しが好きか?といわれると、どうかな、わりと僕は引っ越し好きかな。でもやっぱり日本人だから、一つの土地に落ち着きたいってのもあるし、、、。まあ半分半分です。ていうかそれを書きはじめると止まらなくなりそうなので今日はこのへんで。


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Last Update : 2002/09/04

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