The Yankees

Written by : Masafumi Kokubo

今日は久々に悪者に戻ろうと思う。

先日、ニューヨーク・ヤンキースの開幕戦が東京ドームにて行なわれた。読者はどう思って見入っていたか?残念ながら、筆者は「ある程度の失望を覚えた」という感想である。

ヤンキースやゲームについてではない。日本人についてである。

筆者は、松井が打席に入る事を楽しみに待っていた。特に、トランペットが奏でるあの応援歌と「かっ飛ばせー ま つ い」のコールを心待ちにしていた。一つの理由として、松井が活躍し、それに伴って日本の「応援文化」が全米ネットで放映されるのは痛快だ、と思ったからだ。

しかし、筆者の願いは気持ちよく裏切られた。代わりにあったのは、「Homerum Matsui!」である。

これによく似た光景がWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)の日本興行である。観戦の仕方は完全にアメリカ式「You Suck!」なんて言葉が飛び交う。

確かに、日本人のそれぞれのスポーツに対する知識が向上し、「アメリカではベースボールはこうやって見るんだ」という理解に基づいての行動かもしれない。

しかし、それで良いのか?日本人!

松井を見に東京ドームにいった人の中には、本当は「松井コール」をしたかった人もいるんじゃないの?

筆者が何故このようなどうでも良いような問いかけをしているかというと、世界に出れば「日本人」としてのアイデンティティを前面に打ち出していかないと、やっていけないことも多いからだ。つまり、日本人は日本人らしくしてこそ、世界で生き残っていけるのだ。負け犬の遠吠えに聞こえるかもしれないが、かくいう筆者だって、本音は「1人のアメリカ人」として勝負したい事だって多い。でも、残念ながら「俺は日本人なんだよ」という事を打ち出して、初めて認めてもらえることも多い。

東京ドームで「アメリカ式」の観戦をした人は、「アメリカでは、こうベースボールを観戦する。だから俺もそうしないと」と思った人が多いのではないか。つまり、アメリカ式への同化である。

しかし、アメリカで生き残って行く方法は、その正反対。つまり、他人との差別化を明確に打ち出していく事である。

日本人よ。何故他人と違う事を恐れるのか?

世界を見渡して、同化、違う言葉で言えば順応化が出来る民族は本当に少ない。皆、自分が正しいと思った行動を取る。例えば、筆者は昨年の夏、バケイションをかねてドミニカに一週間ほど行った。そこは、世界中からの人に溢れていて、完全な無国籍地帯。人々は、ドミニカに合わせようとするのでなく、自分の国で正しい事をする。イタリア人は誰でも口説こうとする。フランス人の女性は、銜えタバコをするEtc...筆者はかなりのカルチャーショックを受けたものだ。

筆者の憂いは更に募った。上記観点を発展させ、日本の社会の嫌な一点を垣間見たのである。

読者も、以前帰国子女がもてはやされた時代があった事をご存知であろう。もしくはまだ続いているのかもしれない。この理由がなんとなく分かったような気がした。
日本人という民族は、「ノーム」いわゆる「その団体や組織、社会で暗黙の了解として、“普通”とされる行動」を自然と取る習性があると思う。実は、このノームという事は非常に大切で、MBAでは、いかに社内のノームを築き上げ、更に社員にそれを励行させていくか?という事が大きなトピックであるからである(もっとも、アメリカ人は世界で一番ノームの観念がない人種ではなかろうか?)。筆者もノームは大切だと思う。ここが日本企業がアメリカ企業に対し、有利に競争できるポイントでもある。
しかし、行きすぎはどうか?筆者が考えるに、ノームとアブノーマルの違い(ノームはノーマルの名詞形)は重要で、アブノーマルになってはいけないと思う。しかし、ノームの最も「一般的な例」にならなくてもいいと思う。筆者の目から見て、日本人はノームの最も典型的な行動規範を目指している。だから、世界から「日本人は皆同じに見える」とも言われるのであろう。しかし、アブノーマルにならない限り、ノームの中のどこにいても良いのではないか?筆者が言いたいのは、無理してノームのど真ん中目指すより、ノームの範疇で、一番居心地いい所を探し、そこにおさまりゃいいんじゃねぇか?

日本人が世界に出て行くとき(特に企業など)、やっぱそこのノームのど真ん中になりたいんだろう。だから、帰国子女が必要なんだ。彼らには。彼らは「帰国子女なら、その国の常識を知っている。だから、彼らに聞けば、間違いない」と思っているのではないか?

ここが危険である。まともな帰国子女もいるが、まともでない帰国子女も多々いる。

企業もきっとそんなこと理解し始めたのだろう。やっと。そんなこともあって、最近留学生の市場価値が下落しているんじゃないかな。。。と思いました。


Last Update : 2004/04/01

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