僕のいるCollege of Natural Resources (CNR)には、一時期、十人近い日本人留学生が学んでいたのですが、現在は僕を含めて二人になってしまいました。UIの日本人学生の絶対数は増えているので、個人の経済的な理由とは思えません。むしろ、日本の不景気を反映して、職を得やすい分野に学ぶ人が多くなったのでしょう。
ここ数年の間にCNRを卒業した日本人の一人、Kさんがモスコウに帰ってきました。Kさんは当時のCNRにいたアクの強い、じゃなかった、個性的な日本人留学生の一人です。例えば、2年前にグリーンカード取得後、帰国するまで、10年間アメリカを出なかったらしい…僕も4年帰ってないけど、Kさんの記録には遠く及びません(張り合う気なし)。
今回の滞在の目的は、Ph.D.プログラムにいたときの資料の整理と当時の担当教官と科学雑誌に投稿する論文についての話し合いでした。たった二日間の滞在で、忙しそうだったのですが、時間を割いてもらい、モスコウの夜に出撃しました。ビールを呑みながらの話題は、大学院と自然科学の研究分野で生き残るコツ、今書いてる論文、共通の教授や友人の噂話などなど。いい加減酔っ払ったので早めに切り上げたのですが、これからの僕にとって参考になる話を聴けた、貴重な時間でした。
翌日、前出の担当教官が主催したKさんのための昼食会のあと、実験室でKさんが整理している資料を見せてもらいました。Kさんがまだ学生だったころ、授業のプロジェクトで作った魚の内臓のスライドを、担当教官にどうにかするよう言われたらしいのですが、もったいないらしい…現在の職場に郵送しそうな雰囲気でした。当時を振りかえりながら、実験の目的や背景について説明してくれたのですが、門外漢の僕も引き込まれる熱心さでした。実際、その授業プロジェクトで論文を出版しようと目論んでいたらしい…いやはや、僕も見習うべきです。
Kさんは、僕にとって研究者としてのRoll Modelです。彼の担当教官(前American Fisheries Societyプレジデント!!!)が手放しで賛辞を送るKさんの成功の秘密は…?Kさんは、日本人の基準からみてもかなり控えめです。例の昼食会でもほとんど話さず、「主役なんだからなんか話さなきゃ」なんて茶々をいれられた程なのですが、研究に対する熱意と知的好奇心には圧倒されます。「アメリカでは、ひとつでも抜きん出たものがあれば、認めてもらえる」と聞きますが、万事控えめなKさんは、研究に対する熱意と好奇心で勝負しているのでした(もちろんKさんは賢い)。
実験室で1時間ほどの会話の後、僕らは「お互い頑張りましょう」と、強いグリップの握手を交わし、別れたのでした。
さーてさて、僕は何で勝負しよっかな〜。