Facultyの選出

Written by : Akihiro Koyama

お隣のWashington State Universityには「Forest」のつく学部・学科はありませんが、School of Biological Science (SBS)とEnvironmental Scienceに森林生態学にも興味を持っている人々がいます。僕のいるCNRとも交流があり、共同研究や研究施設の共有をしたり、学生が隣の大学で授業をとったりしています。
そのSBSがTerrestrial Ecosystem Ecologistを探していて、過去2週間に選考過程の一部として、候補者のプレゼンテーションがありました。

Terrestrial Ecosystem EcologyにBiogeochemistryと呼ばれる分野があります。地上と水中、大気中にある物質(例えば炭素:C)の一部は、形態を変えながら、絶えず循環していますが、その物質循環を研究するのがBiogeochemistryで、Terrestrial Ecosystem Ecologyの分野で大切な地位を占めています。僕もその分野に興味があり、森林と渓流の窒素の循環を研究しています。

僕の研究を進めるのに、SBSに新しく雇われるTerrestrial Ecosystem Ecologistに協力を求めることになるので、誰が選ばれるか、興味津々です。4人の候補者の内、2人のプレゼンテーションを見物にいきました。

一人目の候補者は、南極で微生物による炭素の循環について発表しました。内容は結構面白かったけど、緊張のせいか矢鱈早口で、あまり良い印象を受けませんでした。二人目は北西部内陸の草原地帯での窒素の循環について。研究の内容も面白く、自信にあふれた発表で、僕の質問(少々意地悪な)にも要点を押さえて答えました。

実は、二人目の候補者は、僕が2002の夏にUniversity of Utahで集中講義を受けた時、面識を得た研究者の一人で、修士研究の相談にものってもらったことがあります。残りの二人の発表を聞き逃したので、客観性がありませんが、僕が聞いた二人目の候補者が選ばれればいいなぁ〜。

プレゼンテーションを聞きながら思ったこと。
こちらの大学では、Full Professorになるためには、大学に一定の期間勤めて、業績をあげ、Tenure(終身在職権)を取らなければいけません。僕の見た限りでは、Full Professorになっていない教授達は、気に入ったポジションが空けば応募して、採用された場合、気軽に大学を移って行く人が多いようです。その場合、前の大学での業績と勤務期間も新しい職場で評価されるようです。こんなとこにも、風通しの良いアメリカ社会が覗えます。

もうひとつ。こちらの大学では、新しいFacultyを選ぶのに、公正だとの印象を受けます。僕のいるDepartment of Forest Resourcesは2001年に水文学者を雇いましたが、Departmentが旅費と滞在費を払って数人の候補者を招待し、数日間の滞在の間、当時の教授達との集団面接、Department HeadやCollege Headとの個人面接、上記のようなプレゼンテーションなどを課しました。オマケにDepartmentが大学院生との会食まで用意して(もちろん費用はDepartment持ち)、参加した大学院生に候補者の印象を報告させました。こりゃ、候補者にとっては、俎板の上の鯉だな(「どの様に料理しますか?」「Well Done!」)。ここまでやると、Facultyの選考に、Politicsのはいる余地はかなり小さくなるのではないかと思います。

日本の大学の実情を、ほんの少し知ってますが、上記の選考過程に比べて公正ではないという印象を個人的に持っています。今後、改善されるといいのですが…


Last Update : 2003/03/01

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