なぜ留学するのか

Written by : Shinya Suzuki

僕が留学を決意したのは1999年のことでした。アメリカ行きの飛行機に乗る直前まで僕は東京にある某テレビ番組製作会社で、民放向けのテレビ番組の製作に携わる仕事をしていました。素晴らしい仕事仲間、そして上司に恵まれ、忙しくも充実した毎日を送っていました。

けれども、仕事を始めてもうすぐ二年になろうとしていた時、会社という巨大な組織の中に組み込まれ、自分が消えていってしまいそうな、底しれない不安なようなものを感じるようになりました。今の自分の視野の広さ、能力では、組織の中で埋もれてしまうのではないか。このまま会社にいてよいのだろうか? 仕事をしながらも、そんな漠然とした不安、疑問を抱いていました。

そして、その当時、もう一つ僕の中でひっかかっていた事がありました。それは、「本当に今まで自分で自分の道を選んで来たのか?」ということでした。僕は中学、高校、大学がエスカレーター式でつながっている学校で育ちました。そのため、同世代の他の仲間に比べて、厳しいといわれる大学受験などを経験していないということにコンプレックスを持っていました。また、大学卒業後も先輩の紹介で仕事に就くことができたため、就職活動も経験していませんでした。僕はずっとぬるま湯の中で生きてきたんじゃないかと自分の今までの人生に自信を持てずにいました。

一度立ち止まって自分の生き方について考えてみたかったのかもしれません。自分の意志で、自分の人生をストップし、そして新しい挑戦をしたいと思ったんだと思います。

もちろん、そんな風に考える自分自身に対して、不安もありました。もしかしたら僕は社会に適合できないアンバランスな人間なのか?青い鳥症候群なのか?自意識過剰なのか?いろいろな考えが頭をよぎりました。そもそも、自分のことを見つめ直したいなんて贅沢なことなのかもしれない。与えられた仕事をもっともっと突き詰めてやっていくことこそ意義があるのかもしれない。せっかく仕事を覚えて来て、スタッフとのチームワークも良くなって来たのに、それを投げ捨てるのは無責任ではないか…。考えれば考えるほど自分の留学したいという気持ちに自信が持てなくなりました。

それでも一度留学について考え出したら、それを止めることができず、最終的にアメリカ行きを決めました。今思うと、強烈な目的意識というのはなかったのかもしれません。ただただ、アメリカに行って、環境を変えたかった。自分を見つめ直したかった。でも、アメリカに行って何をしたいのかは全くわかっていなかったのだと思います。

そんな曖昧な状態で、僕は1999年の8月に、成田空港からアメリカ行きの飛行機に乗り込みました。今、当時のことを思うと、ほんとうに勢いだけで来てしまったんだな〜なんてちょっと怖くなったりもします。けれども僕にとってこのアメリカへの留学は、自分の人生の中で一番大きい決断でした。この決断をしたこと自体が、僕にとってもしかしたら一番大きい収穫だったのかもしれません。そして現在、その決断が間違っていなかったと思えるよう、必死に留学生活を送っています。


Last Update : 2004/10/02

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